あまりものの幸福日和

作者中村ゆい

「こいつあまりもん? 俺がもらってくわ」。小学校の休み時間、野口鈴蘭はそんな言葉とともに同級生の星川祐理に拾われた。のんびり屋の女の子が十年の年月をかけて初恋を実らせる短編。


「そいつ、あまりもん?」

(この人……誰!?)


「疲れたし、もういいや」

「なんやそれ」


「……しんどかった」

(なるべく近いところにいたい)


「……おかしくなる?」

「なる」




好きな子と一緒にいるから。

おかしくなっても幸せやと思うわ。