甘いクッキーは一瞬でなくなる

作者ゆるゆる奏

お菓子屋さんで働くあたしのメインイベントは、

勤務開始10分後に訪れる。

納品されてきたクッキーを受け取ると、

彼はあたしにとびきりの笑顔を向けて颯爽と去っていく。

先輩は今日もあたしのミスをごちゃごちゃ言ってるけど、そんなのどうでもいいことだ。

やっと、彼の目を見てあいさつできた。

最高のメインイベントが終わったら、そのあとの1日はもう空っぽになったクッキー缶。

あたしの頭はすでに明日のクッキーを美味しく食べることでいっぱいいっぱいだ。