布団には彼の香りが残っていた


冬の朝の冷たい空気と彼の香りがすると

まるで隣に寝ているように感じた


早く記憶から消したくて消したくて。


楽しかった思い出も、今になると

全てが辛く感じる。当たり前に見ていた

恋愛ドラマも、もう見たくない。


こんなに辛いのは自分だけなんだと

孤独に思えた


無気力のまま布団のシーツを剥がし

洗濯の準備をした


『本当は一緒に居たかった。

一生幸せにするって約束はどこにいったの』


そんな気持ちを抑えられず

また泣きながら丸めたシーツを抱きしめた

もう現実は変わらない



さようなら



初めての同棲、初めての夜

全ての思い出をかき消すように

溢れんばかりの柔軟剤を入れた。


香りと共に私の記憶も

全て消してください神様。