由菜は中学三年のクリスマスイブの日に電話で彼氏にフラれてしまう。
どん底な気分の中、なんとなく公園に立ち寄ると、『雪人』と名乗る真っ赤な服を着たサンタと出会う。
彼は仮面を付けていて、男であるということ以外なにも分からない。
けれど、私に笑顔をくれた。
最低なクリスマスイブだったはずなのに、彼のお…


 雪の日に出会った彼はこう言った。


「雪の日に会ったから俺の名前は雪人」


 わたしは彼にこう返した。


「雪の日に会ったから、わたしの名前は雪菜」


 お互い本当の名前なんて知らない。

 けれど……

 あの日のことをずっと忘れられずにいた。


 そして再会の日はやってくる――。