楯岡 芙結(たておか ふゆ)は、普通の女の子。

“あれ”が見える以外は。


「そろそろ俺の彼女になりなよ」

「無理。だって、瑞貴(みずき)とは、繋がってないでしょ」

「また“糸”の話?」

私、見えちゃうんです。
……運命の赤い糸。

右手の小指から伸びた、細い赤い糸。
その先は……――

楯岡 芙結(たておか ふゆ)は、普通の女の子。


“あれ”が見える以外は。



「そろそろ俺の彼女になりなよ」


「無理。だって、瑞貴(みずき)とは、繋がってないでしょ」


「また“糸”の話?」


私、見えちゃうんです。

……運命の赤い糸。


右手の小指から伸びた、細い赤い糸。

その先は……――


「……見つけた。運命の人」


「は?バカ?」


やっと見つけた相手は、パパの再婚相手の息子。

義兄の学(まなぶ)。


「繋がってなくても、俺は芙結が好き」


そして、ずっとそばにいた幼なじみ。

村山 瑞貴(むらやま みずき)


「俺は、家族ごっこなんかするつもりないから」


第一印象は、最悪。

でも。


「大丈夫。俺しかいないから、泣いても」


私たちはきっと、恋をする前提で出会った。


✩.*˚


「赤い糸、結んであげるからこっちおいで」


好きじゃない、まだ。

でも、恋になる。きっと。