カタオモイのまま。

作者

恋を知らない少女が、
街で出逢った美容師の男性に初めての恋をするお話。
最初は少女の一目惚れから始まった恋。
少女は恋の悲しみも切なさも愛おしさも知らなかった。


「お、お名前を聞いてもいいですか……?」


 最初はただの一目惚れだった。

 だけど、本気の恋だったよ。



「んー、あと三年経ったらね」


 片想い、それでもよかった。

 あなたがただ、好きなだけだから。


 

「なんか、ふうちゃんの髪ってつい、

 くしゃくしゃしたくなるんだよね」


 聡くんに構ってもらうのが好きで。

 聡くんに構ってもらいたかったんだ。



「ごめん、ふうちゃんの気持ちには応えられない」


 うん、分かってたよ。

 ただ、言いたくて、

 ただ、聡くんに知っていてほしかっただけなんだ。


 あなたの傍で笑っていられたから。

 だから、私はそれだけで幸せだよ。