内容)
「ずっと前から好きだった…」
俺、早川颯太は告白をしていた。それも、幼なじみに恋したっていう自分でも笑えちまうくらいとっておきにベタな展開だ
「だから…付き合ってくれ!美桜!」
そいつの名前は咲原美桜
家は豊かとは言えないというか…うん…貧乏だ
そんな中暗い素振り1つ見せず周りに笑顔を見せられる美桜のことが俺は好きだ
まぁ好きじゃなかったら告白自体しないしな
それにしても美桜は俺を受け入れてくれるんだろうか
恥ずかしくて逸らした目を再び美桜に向けた
そうしてふと美桜を見た瞬間に俺は美桜を引き寄せ、抱き締めた
美桜は…泣いていたんだ
ぶたれても怒られても文句は言わない
ただ美桜の涙が見たくなかった、流させたくなかった。
それだけだったんだ
そして美桜の口から言葉が溢れる
「颯太…ずるいよ…そんなの断れるわけないじゃん…私もずっとずっとずぅっと好きだったんだよ?ホントに…ずるいよ…」
そのしゃっくり混じりの声で紡がれた言葉の意味を理解し、その照れ臭さから美桜の背に回した手をほどこうとしたのだが次は美桜が俺の腰に腕を回し抱き締めた
「もう少し…ギュってしてて?」
美桜は涙を見られたくないんだろうな
そんなことに気付き俺は何も言わず強く…でも痛くないように美桜の体を包んだ
そんな幸せの絶頂の先に、苦難が待ち受けているとは知らずに…