トーコ
過去の痛みは誰よりも純粋で
幸せな家庭を築いても、尚胸から消えることのない痛み。
萌にとっての先輩は、届く距離にいながら理性との葛藤の末、手を伸ばせなかった忘れたくても忘れられない運命の恋をした人でした。
同窓会の招待状をきっかけに鮮やかに蘇る先輩との想い出には胸が詰まります。こんなにも似た2人がどうして先に出会えなかったのか。
萌の人を傷つけた上での幸せは成立しないという理性の強さに感動しながらも、先輩を想い続けてきた萌の純粋な気持ちを応援したくなり、身動きの取れなかった萌にシンクロしてページを捲ることも躊躇われたほど切なくなりました。
先輩との再会はお互いに言えなかった想いを昇華出来たことで、それぞれの未消化だった恋に決着をつけることが出来、読んでいる私まで心が晴れていくようで清々しい読後感です。
恐らくはほとんどの人に経験があるであろう忘れられない恋。いま、大切な誰かがいる人にこそ読んでもらいたい切なさで溢れた秀逸な作品です。 個人的には書籍として読みたいくらい素敵だと思います。
皆さんに自信を持って、おすすめ致します。