恵沢りょう
「私にも買われてよ」 その言葉から始まった3人の関係
東城海は才色兼備。政治家の娘として誰からも一目置かれる存在だった。
でもそれは、本来の海の姿ではない。
偽りの海の姿に気が付いた、ビー玉のように透明な瞳と心を持つクラスメイト、佐野裕也。
佐野の親友でもあり、進学校にはふさわしくない金髪ピアスのお調子者、芦田桔平。
まずは3人の会話が面白い。会話の中で、本来の海の姿がだんだんと見えてくる。笑い上戸の芦田に、天然の佐野が加わることで起こる愉快な会話には注目。
そして、誰もが経験しうる思春期の揺れ動く心情、すべてを黒く染めたい葛藤、切ない気持ち、誰かを想う気持ち。
作者様の描かれる深い心理描写になんども涙が落ちそうになりました。
幸せなのに、どこか切ない。
3人の関係は、脆く、壊れやすく、それでも何よりも透き通る。
表現するのであれば、やっぱり「青透明のビー玉」
ラムネの瓶に転がるビー玉のように透明で、夏の匂いを残した物語。