───ある、満月の丑三つ時。
夜空と屋根の上、それぞれに一人の男の影。
「へん!ここまで来れるもんなら、来てみやがれ!」
そう怒鳴られた屋根の上の男は軽く舌打ちし、夜空に浮かぶ男へ怒鳴り返した。
「ふざけるな。さっさと降りて来い!」
「そう言われて、誰が素直に降りてくもんか!殺したいなら、殺せばいーじゃん!
それとも何?屋根から、この飛んでいる俺に銃の玉は当たらないから、降りて来て欲しいと?」
「黙れ!貴様なんぞ、僕の足元にも及ばんわ!」
「あっそー」
「待て!逃げるのか!?」
「違うし。君と遊んでいるの、つまらなくなっちゃったんだー。またね」
「待ちやがれ!!」
一気に加速し、さっさとあのウザい魔師から離れる。
2秒で100m移動出来る俺にとっちゃ、魔師から離れるなんて…たやすいこと。
「にしても…、腹減った…」
あのウザい魔師のせいで、こんな深夜になってしまった。
こんなに遅くなると、外出している獲物も少なくなる…
「今日もゴハン…お預けかぁ…。ごめん、兄さん…」
パァン!
「ぐはっ…」
パン!パン!パン!!
「かぁっ、あっ、はっ…!」
しまった、油断してた…!
あの魔師…俺に逃がせといて静かに狙いやがってたな…。
くそッ。このままじゃ、墜落しちまう────
*
○登場人物。
・美音-みおん
とある神社の一人娘。巫女。17歳。
・迅-じん
謎多き男子。年齢は見た目的に同じくらい?
青い瞳が印象的。
・謙-けん
美音の幼馴染。17歳。
腕はピカイチの魔師。
*魔師-まし
→ヴァンパイアの過激な悪戯は国家問題。
そのヴァンパイアを退治する人のことを指す。