anne

貴方を受け入れる、其れこそが全て
序奏は記憶喪失から始まる。
そして其の先に
予想できない展開、
我々が普段接することができないような現実離れしている世界、
が徐々に広がっていく。

妻の記憶喪失を巡って描かれる龍一の心情は単なる切なさだけでなく
苦しみや葛藤も描かれていて
かつ伝わりやすい表現。
感情移入しやすかった。

物語の後半に性的描写も描かれているが
何処か夫婦というより恋人同士であるような表現に微笑ましさを感じた。

個人的に
愛の表現の一つと考えるので
厭らしさは感じられず
また、表現の仕方が上手く情景を包んでいて
そういう作品が多い私自身も感服した。

内容自体は辛く、切なく。
だが全体的に重苦しさは感じない。
其れはラブコメのような美百合と龍一のやり取りが見られるからであろう。

最後に記憶が戻った美百合。
一見呆気なく記憶喪失というものに終止が打たれたようにも思えるが
龍一と重なったことにより
龍一を受け入れたことにより
何処か再び生まれ変わった美百合として受け止められ
其れこそが此の作品の全てではないかと思える。