青く澄みきった空。隣の家のもみじはほんのり赤くなってきている。
小さい住宅街。古い家しかない。そのなかに1つだけある小さな病院。
「けほっ・・・嗚呼、風邪ひいたかも」
小さな住宅街の道に1人立って呟く『大庭 梨沙』
「確か、ここらに病院があったはず・・・」
梨沙は道端に生えているすすきを3本抜いて振り回しながら、病院にむかった。
そこには、『若桜医院』とかいてある小さな病院があった。
「ここか」
梨沙はすすきを持ったままソロっと入っていった。
「誰もいない」
薄暗い病院のなか黒いソファと木でできた床。梨沙は一歩一歩あるいていった。
すると奥の方から足音がきこえてきた。
黒くさらさらとした美しい髪。色の白い肌には四角のメガネ。メガネの奥には鋭いながらに優しさを感じる眼球。ずいぶんと若い医者だ。
「あ、の」
梨沙は言葉が一瞬でなかった。
その時思った。
(これが一目惚れか・・・)