私の知っている彼は、肌が白くてとても背の小さい齢7歳の男の子だった。小学校二年生の時に隣に越してきた彼は、とても優しくてどんな子にも分け隔てなく接することのできる非常に活発的な人だった。
私はというと、彼とは正反対の非常に暗い子供だった。人とうまく接することが出来ず、友達と言える人など誰一人いなかった。
彼が隣に越してきてからは、友 達のいない私を気遣ってなのか、よく声をかけてくれた。最初は緊張と不安で彼とうまく話すことができなかった私だが、心優しい彼に段々心を開くことが出来 た。それからはよく一緒に遊んだ。
私からは積極的に彼を誘うことはできなかったが、7歳にしてそんな私を彼はよく理解してくれた。私の家で映画を見たり、 ゲームをしたりした。外に出ることが苦手だったが彼となら平気だった。彼と一緒だと、怖いものなどなかった。
母もこんな私に彼のような友達が出来たことを 非常に喜んでいた。私も母を安心させてあげられていることが嬉しかった。
このままずっと、彼が隣にいてくれたらいいのにと、そう願っていた。
しかし彼は突然いなくなった。彼が越してきてから二年ほど経った小学校四年生の時だった。近所では良くない噂話が出回っていたがまだ9歳だった私には難しくてよく理解できなかった。
彼がいなくなった日、自宅のポストに差出人不明の手紙が入っていた。
そこには「ごめんね、また会おうね」とだけ書かれていた。その日を境に、ただ一人の私の友達はいなくなった。一枚の紙切れだけを残して、私の前から姿を消した。