小泉秋歩

イヤよイヤよもSのうち。
 魔王に花嫁として差し出される哀れなセレイア王国の王女――の身代わりとなった侍女コレット。容貌は平凡、腹黒で毒舌の彼女に、なぜか魔王ダマスカスはぞっこん夢中。毎晩毎晩、懲りずに夫婦の契りを交わそうとしては、彼女の冷たい仕打ちに泣く…どころか喜ぶ始末。そんな奇妙な構図の魔王城には、今日も残念勇者やオカマ勇者が王女を救出せんと攻め込んでくるのだが――?

 ファンタジー・ラブ・コメディ。っていうかギャグ。

 とにかく主人公のドSっぷりと魔王のドMっぷりがどちらも振り切れていて、最初から最後まで大笑いさせてくれます。彼女の掌でころころ転がされている魔王がとにかく楽しそうで!

 この2人を軸として、途中から残念勇者のアロンダイト、オカマ勇者のスチール、吸血鬼メイドのミスリルなど、個性豊かなキャラクターが絡んできて、さらに物語は混乱を極めていくのです。

 全編ドタバタコメディですが、読後感は実にハッピー。
 ファンタジーが苦手な方にも気楽に読んでいただける作品です。