容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能、何をやらせても一通りこなしてしまう…そんな超ハイスペックモテ男子高校生、高岡真は今日も一人悶々と頭を抱えていた。ちらり、と隣を見ると自分の胸くらいの位置で目が合う。
「…真?どうしたの?」
そう柔らかく微笑まれ、思わず見とれてしまう。
ーーーそう、目下の悩みは先月から付き合いだした彼女、笠原月花にある。ほんわかとした雰囲気で、美人というよりは可愛い。癒し系女子だ。キツイ印象を与えやすい自分とは違い、彼女は相手をほっとさせる才能に溢れている。
真は咄嗟に抱きしめたい衝動をぐっと堪えた。もう大分慣れてしまった作り笑顔でこの場をごまかす。
「いや、何でもない」
「?ならいいんだけど…」
まだ訝しんでいたが、何とか納得してくれたようだ。ほっと胸をなでおろしたとき…
「何か悩みがあるなら言ってね?真が辛いと、私も悲しい…」
そう切なげに告げらえた言葉に、ズカーーンと衝撃が走った。
---ヤバい、超かわいい。マジでキスしたい。てか、押し倒したい!
などと、一人脳内ではめくるめくあらぬことを考えているとは露しらず。目の前の彼女は「あっ」と声を上げると、立ち止まった。
そういえば、今登校中だった。
彼女の学校の近くに来ていたことに今気づく。
「じゃあ真、また後でね」
「…あぁ、放課後向かえに来る」
寂しげに告げた自分とは対照的に、彼女はいつものはわんとした笑顔で去ってしまった。
ーーーもう少し寂しがってくれてもいいんじゃないか!?…その笑顔もかわいいけどな!!
と、思ったことは秘密である。