mimiko
何もない短い日があって、一ヶ月一年間がバランスよく過ぎていくんだよ
タイトルは本文より。
視覚で色を認識できない泉くん。
代わりに他人の感情を色覚できるのですが、それは彼に苦痛しか与えない。
そんな彼にやすらぎを与えてくれるのがライラック蒼を持つ国枝さん。
ふたりの交流は、傷の舐めあいとも違う、脈打つ大木を挟んで、背中あわせで座り、梢のささやきを聞きながら、お互いの気配をさぐるような……
そんな静かな静かな時間で。
筆者さまの情景描写と色に照らし合わせた表現は見事でした。
まさに無色の世界に色を流し込んでいくような、ぶちまけていくような。
泉くんの色の吐き出し方は衝撃ですが伝わってきました。
内包している自分の苦しみと向き合いながら、それでも少しずつ殻を開けていくような進み方に惹きつけられ、ぐいぐい読んで行きました。
そして明らかにされた苦しみは、まさに驚き。
わかりあえると信じたふたりだけれど、段違いの階段に座っているような事実。
そう、やさしい泉くんの抱えている事実には、びっくりして声も出ませんでした。
星の数は未完だからです。
続きを楽しみにしています。