吉澤 憙津

最初で最後の優しさ
自然の営みは着実に季節をめぐらせてゆきます。それは逆らうことのできない自然の摂理。
ヒトを含む生物の死もまたさだめられた自然の摂理。「冬の子」は摂理の申し子。誰の言うことも聞かなかった「冬の子」が死にゆく少年の延命の為に摂理に抗して冬の進行を遅延させたのは最初で最後の優しさ。だからこそその優しさはとても際立って感じられる。「運命」や「摂理」さりげなく表したとても奥の深い作品だと思いました。