篠原吉野

共感性のある作品
作中で俊二が自問自答を繰り返す中で彼の成長が見られたように思いました。キャラクターの個性や物語の展開、言葉の言い回しなどとても読みやすく、主人公と共に考えさせられる内容です。そして、個人的に作者様の文体が好きです。

俊二が、安西と関わるようになり”傍観するだけの加害者”から”被害者に寄り添う協力者”になり、衝撃のラストを読み終えるまで、ページをめくる手と、文章を追う目が止まりませんでした。俊二は頬を濡らす時雨を受けながらどんなことを考えていたのだろう。と、彼のことを想像しつつ、作者様が答えをテキストに書かずに幕を引いいて下さったからこそその後の展開を想像する楽しさと、自分の納得のいくラストを想像し完結することができました。

偽善と善意の違いは何だろうと、考えましたが…おそらく、2つの行為には然程、違いは無くそれを受け取る側によってどちらにでもなり得るのだろうなとこの作品を読んで私が出した答えでした。

余談ですが、ジ●リネタが所々に散りばめられていてジ●リ好きの自分はおそらく他の誰よりも楽しませて頂きました。最後になりましたが、素敵なお話をありがとうございました。