心菜りず

微笑ましい、不器用な一つの恋
『唇に、熱。』を読んでからすぐ『カミングアウト!』に手をつけたわたしは、真っ先に日和ちゃんに反応しました! 何となく、嬉しいような、ホッとしたような。 そんな感情を持てたので、そのまま続きを読むことにしました。

まず、月ちゃんの不器用さ。 〝―――付き合ってあげるけど、どうする?」〟こんなに不器用で堪らなく可愛いセリフを吐くようなところが、裕志の心を燻るんだろうなと。 読み手の私も、ほのぼのとした表情で読んでしまう程でした。

そして裕志も実は月ちゃんと並ぶくらい不器用。 月ちゃんが大切で、その気持ちはありのまま伝わってくるが、大切だからこそ不器用な形で彼女を守ることしか出来ない。 この不器用なふたりが、不器用なりにぶつかってくっついて、そんな光景が温かくも思えました。

最後に、あの一文。 締める言葉はあれしかないと思うし、あの一文があるからこそタイトルや中身が生きるとも思いました。 あの一文に詰まった沢山の想いやメッセージが、この作品を綺麗に飾ったのだと。 私は、そう感じます。