月季花

連なる恋のひとひら
人の目には映らない風の精霊・ウィンディーネ。

生まれ落ちた時に聴いたあたたかい「声」。命を運ぶ存在である彼女はある日その「声」によく似た人間の男の歌声を耳にして、その優しい旋律に徐々に惹かれ、叶うことのない恋に落ち――

どこかケルトの神話を思わせる切なく儚い恋物語、『風の恋歌』。

大好きなバンドヴォーカルの訃報。
夜の公園で悲しみに打ちひしがれていた華の耳に届く、聞き覚えのあるメロディ。

「真っ暗になっていた私の心に、樹先輩の輝くような笑顔が小さな光を灯したんだ」

詩に託した儚い恋心。
叶わない恋は身を切るように辛く、でも、

「誰かを想って、輝いてみえる貴方だから、私は恋に落ちたんだ」

とある曲をモチーフにした切ない恋の物語、『こいのうた』。

どちらも深く繊細で、読者の心にすっと浸透してくる素敵な作品です。

細やかな情景描写・心理描写によって紡がれる様々な「恋」の形。

是非ご一読下さい♪