祖母と共に暮らす高校1年生の私は、ある春、一匹の狼さんと出会いました。その狼さんはとても寂しくて冷たい瞳で私を見ていました。

出会いっていうのは人生において、とても重要なことなんだと死んだ母が昔、よく口癖のように言っていたのを今もまだ覚えている。


彼女の声は綿菓子のような甘さを含んでいてその声が、母その人を表しているようだった。


そんな母はもう私の隣にはいない。


居ないけれどこの胸に光る薔薇のネックレスを握り締めればいつだってあの甘い声が私の頭に響いてくる。


ねぇ、お母さん。


私もね、出会ったよ。私の人生を180度変えた、あのヒトに。


あのヒトはいつも独りだったから、私は精一杯の愛を注いであげたかったの。


ねぇお母さん、どうかあのヒトを守ってね。