君がやさしく手を握るから

作者小梅

苦しい毎日から逃げ出したくて
まったく知らない町に飛び込んだ

戻りたくない。


「じゃあうちに来いよ」

そう言って私の手を握った君の手は温かかった—。


「お前、行くとこないの?」


そう言って私の手を引いた君。



苦しくて、逃げ出したくて、冷えきっていた私の心を

そっと、その手はやさしく温めてくれた—。