知里

書き方が上手いだけに……残念。
他の方には申し訳ないが、私はこの作品が嫌いだ。

まず、物語が淡々と進みすぎている。
思春期特有のキャピキャピ感や、一喜一憂する姿が文章から読み取れない。

物語の所々に張られている話のタネは素晴らしいと思う。
歯のくだりは物語の中で重要であるが故に、最初の方の専門用語的な会話。
普通の高校生はしないだろ、と真面目に突っ込んでしまった。

中卒に対する厳しい目や、水商売への嫌悪感。
現実的だからこそ、どうしてもこの話が好きになれない。

私は事情があって中三の頃から今の会社で働いている。もう五年目だ。
同い年の子達が遊んでる間、私はただひたすら仕事をしていた。

中卒である事が恥ずかしいなど思った事は一度もない。

作者さんは決してけなすつもりなど無かったのだろうが、悲しかった。

改めて中卒の身分の低さ、水商売への差別的な目。
世の中の“高校行ってて当たり前”という現実を叩き付けられた。

文章の書き方や、比喩表現はそこらの作品より優れている。

だが……。

私や友人の生き方を否定された気がしたため、この作品は好きになれない。