栗栖ひよ子
ここまで良質な携帯小説はなかなかない
最後の一文を読み、タイトルの本当の意
味が分かったときに、衝撃が走りまし
た。
このような良質な作品を、ネットで無料
で読ませてもらっていいのだろうか……
と思ってしまったほどです。
うのたろうさんの作品を読ませていただ
くたび、実力が増しているのが読んでい
るこちらにも分かり、努力を惜しまずこ
こまで頑張ってきた方なのだと、改めて
感服させられました。
以前見受けられた、ひらがなの多用や女
性の一人称を語るうえでの違和感は払拭
され、完全に自分のものにされているな
と感じました。
歯であったり、ろくろ首であったり、物
語の随所に見受けられる伏線的な言葉遊
びはさすがでした。
しかし、テルくんの結末は切ないを通り
越して悲しく、翔子さん共に救いが見ら
れなかったことが少し残念でした。
司がこれからどんな道を辿るのかも不安
ですが、このハラハラした読後感含め
て、この作品の深いところなんだなと思
います。