木原

独特の、古さ
水巫狐が可愛かった。ヒロインというのも頷ける。

さしずめライトノベル風といったところだろうか。これを難しくて読みにくいだのと言う人がいることには驚きだ。
導入部分は、うまいな、と思った。同時に、癖のある文章だとも。しかし、読み進めていってもその癖が快感にならない。無駄な描写が多いのだ。フォーカスを当てるべき部分にフォーカスが当たっていない。いちいち作者の描写によってあちらこちらへと意識を動かさなければいけない不快感が、文章を読み進めるスピードも遅くする。描写には凝っているようだが、それが悪い方に出ている。正直、これ以上無駄な描写が増えるのだと思うと、PC版は読む気にはなれなかった。

説明的な独白が多い。古典的な少女漫画を読んでいるようだった。水巫狐が突然『我は水巫狐~』と地の文で語り出した時は特にシュールだった。一人称小説とは言え、作者の介入が明らかに目立つのは不自然だ。

それでも読み進めたのは、水巫狐が可愛かったから。これに尽きる。携帯小説ならキャラクター萌えを押さえられたら十分だろうと思う。