融点でふたり、

作者森苑 カヲル


壊れないと思っていたのに、昨夜、ヒビが入っていた。そして今朝、粉々に砕けていたんだ。そっと触ると鋭利な刃物のようだった。ああ、壊れたかけらたちはこうして周りと距離をとって自分を守るのか。優しく拾い上げてもその指は血が滲み、わたしを拒む。そのかけらは間違いなくわたしのこころたちだった。





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「──春」

そう呼んだあなたの声は震えていた




texるるる様