芙佳
愛することの難しさ
若い男女が偶然出会い、お互いに好意を抱き……というのは、よくある恋の始まり方。
ただ、彼女は根の深い心の病を抱えていた。
彼女の苦しみに同情し、自分が何とかしてあげたいと思う主人公。それが空回りしかせず、互いに好き合いながらも、どんどん悪い方向へと向かう不健全さ。
まさに共依存の関係。
彼は度々自分を責めます。自分が弱いから、思いやりが足りないから、本当の愛ではないと。
その姿がとても痛々しくて、涙がこぼれました。あなたは彼女のために精一杯頑張った、そこには誠意があり、ちゃんと愛もあったよと伝えたい。
ただ難しいことに、精神的な病気は「優しさ」では救えないということ。精神科医の一番の心構えは「患者に、決して同情しないこと」だと聞いたことがあります。
愛されたいという欲求が強いあまり、異常な行動で人の関心や同情を引きたい患者に、同情をして引きずられては治せない。恋人には難しい役割だと思います。
辛い経験を乗り越えて前を向いた二人が、今は幸せに笑っていますように。心からそう願います。