緑茶
夕立のような
じわりじわりと押し寄せる悲しみが、最後夏の夕立のように堰を切って溢れ出す様が酷く切なかったです。
短い文章の中に濃い人物像と強い思い、沢山の思い出が詰まっていて、充実していました。
ただ、違和感を覚えた所もあります。
季節が夏で、「陽が沈むのが早い」とありますが、夏の陽は長いと言うのが一般的な気がします。
それと、女性二人の会話が掛かってくる彼との思い出が曖昧というか、中途半端と言いますか…。
若干物足りなさを感じます。
そして着物。
主人公は何故敢えて着物を着たのか。「慣れない事をした」という点ではそうなのでしょうが、では何故慣れない事をしようと思ったのか。
彼の記憶を忘れたいという訳でもなさそうですし、そこが少し疑問でした。
マイナスなコメントが続いてしまいましたが、先に述べたように、話はよく纏まっていて悲しみがダイレクトに伝わってきます。
他の作品にも期待出来る、そんな物語でした。