琥珀色の瞳には

作者保 依久



転校してきたクラスメイトの井橋君は少し周りとは違う雰囲気のある男の子だった。

ある日の放課後資料室で彼の瞳を見つめていた私に対し彼は...





彼の眼鏡の奥、黄金色の瞳を私はとても綺麗だと思う。


「倉一さんどうかしたん?俺の顔じっと見て何ぞついとる?」コーラを片手に井端君が不思議そうに首を傾ける


『いや、瞳が綺麗だなぁって思って』


資料室で先生に頼まれた仕事をこなしながら一旦休憩しようやと井端君が自動販売機で買ってきたコーラを飲みながら二人で駄弁っていたらふと、井端君の瞳を見て思い出したことがあった


真顔で答える私に井端君は「何口説いてるん?」悪戯っぽく茶化すように笑った


「そないなうっとり見つめられると照れるんやけどさ、俺この目の色嫌いやねんな、なんか蛇の目みたいちゃう?」


彼の瞳はカーテンの端から漏れる夕日に透けてキラキラと輝いている


宝石みたいだ、石と違って生命の光が宿っている分より綺麗な光を放っている


『私はそうは思わないかなぁ』


彼の瞳は以前博物館で見た琥珀石に似ているのだ


蜂蜜の塊のような琥珀の中には蜘蛛がいた


蝶を捕食中の蜘蛛


捕食中に樹脂に包まれたものらしく、蝶は喰われ体の半分を失っていた


熱心に見ている私にそう学芸員さんが説明をしてくれた。