清乃

何が「幸せ」 どれが「愛」?
佐木かおるさんのテーマはどの作品もいい意味で「一癖ある」。
この作品に関しては「歪んだ愛」。
ただ、何をどうもってここに提示された愛を「歪んだ」と定義するのかは定かではない。
なぜなら、この作品を読んで思った。
「愛」とは、「幸せ」とは、当人のみが知る事実であり本人が認めた時点でそれはどんな形でも「愛」であり「幸せ」だからだ。逆にどんなに条件が揃っていても本人が認められなければやっぱりそれは「愛」でも「幸せ」でもないのだと。
ナホとミナトはいわゆるアブノーマルな世界にのめり込んでいくが次第に思考が薄れていく為に余計なモノがそぎ落とされる。残った思いは至極シンプルな心の叫び。
こうなってしまえば、どんなに偏屈者でも自分の本心がありありと分かるもの。地球には68億人以上の人間がいるわけだからこれもれっきとしたひとつの「愛の形」なのだろう。


ストーリーに関して欲を言えば、ミナトには恭平を殺しに行って欲しかったと思う。後編のミナトはちょっと大人しかった?
だが最後の締めは最高だったと思う。