NOEL

欠点が見つからない、淡々としているのにキュンとする短編
放課後ひとりで図書館に行き、つい予定になかった本を借りてしまう女の子。ずっとヘッドホンをつけている男の子。

ふたりともどちらかというと、一人を好む部類だと言うのがその描写で簡単に分かります。


またもらった飴がりんご味なのは、そのあと女の子が顔を赤くするシーンとうまく結びつけられており、

本といい、ヘッドホンといい、飴といい、一見無意味と思いがちな小物にまできちんと意味をなしており、完成度の高さがうかがえます。


また、タイトルの「雨」と「飴」も掛けられているのでしょうか?

「雨のち」よりも「飴のち」のほうがしっくりきてしまうところに、また楽しさを感じ素晴らしかった。


このあとふたりはどうなるのだろうか。隣の席だしなにかアクションがあるのだろうか。

読み手にそう思わせるエンディングにもどかしさを感じつつも、おもわず二度読みしてしまうほどの良作に、ただただ脱帽です。

短編としてかなりの完成度を保っており、ほどよい感情描写や場面描写も絶妙な量で欠点など見つからないほどのストーリー構成でした。このような良作をありがとうございました。