夏休みのある日、海で出会った男の子に恋をした。名前も知らない彼に恋をし続けて9年――。ただただあの時の約束を果たす為に私は彼を探し続ける。
夏空の下、私たちは出会った。
「約束だよ」
摘んだばかりの花で編んだ指輪を小さな指にはめながら、彼はそう言った。
私はただただ嬉しくて何度も頷いた。
「また逢える日まで」
そう言い残して、次の日から彼は忽然と姿を消した。
あれから9年。
私は今も彼を探し続けている。
また逢った時の約束を果たす為に。