遠野ましろ
一歩ずつ希望の光を集めていく
レビュータイトルは文中、あまりにも心に響いた言葉を拝借しました。
全頁、横に並ぶのを10文字内に抑え、改行で統一。携帯小説を意識された読み易い文体。
難解な単語を省き、日常用語を用いている点も、物語を入りやすいものにしています。単語の並びや使われ方がいいんです。
例えば、P.125。
(中略)都会の高いビルが
その形を木々に変えていくように
心に会いたくて、逸る気持ちを景色になぞらえる描写。素敵。
他にも、P.121の咲真の行動、P.161の父親の台詞。P.171の咲真と被せている彼の言葉等々に感動。若葉荘のかけあいも楽しい。
キャラの良さは書ききれないけど、せめて心について。年齢より大人びた余裕と芯の強さ。馬鹿なんて言えて、キレた時の痛快さ!人を許せる真の優しさと愛情深き心。
途中の視点切替で時間軸が前後する点はやや気になりましたが、とかく。作者様の情熱とお話にかける想いが伝わります。
後ろの番外編も必見。知りたいキャラの裏話満載。みんなの魅力がみんなの目を通して、改めて伝わる。
心が浄化される、素敵なお話でした。