亜香里

丁寧な心理描写
両親の転勤から始まる同じ学校の男の子との同居生活。

携帯小説の世界では非常に人気のある設定であるために、読み始めた時は「またこのパターンか」と実はあまり期待をしていなかったのですが、ありふれた設定を吹き飛ばすだけの秀逸な心理描写がこの作品を大変魅力あるものにしています。

核になる人達の薄っぺらでない過去。
背負う傷や未だ拭い切れない痛み、そしてそんな重さをフォローするような周りの友人の優しさや明るさ。

ともすれば重く暗くなりそうな話ですが、そんな絶妙なキャラクター配置のおかげで読み手がその重さに引きずられることなく、さらりと読みやすくなっています。

羽架と涼、二人に絡むそれぞれの人物の過去や思惑もまだまだ明らかになるのはこれからのようでこの先の展開がとても楽しみです。

個人的には色々空回り気味な浦田君を応援したいところ。
もっと空回れ(笑)