NOEL

妖艶なファンタジック ラブ
友人に合コンに誘われ、断るために彼氏がいると嘘を吐いた依茉は、偶然街で出会った皐月に彼氏役を頼むが、彼は吸血鬼で…──。

という、ファンタジー要素が込められた恋愛小説。

まだ恋愛部分は出てきていないが、いずれ恋愛に発展していくのがわかるストーリーでした。

描写的に、吸血シーンは細かく書かれているので情景が頭に思い浮かぶ艶やかなシーンになっていたと思います。

一点、気になったのはマスターが依茉に言った「絶望に落とされて泣いている所なんて見るの嫌だし」と言う台詞。

皐月には記憶を消す力があるのだから、その様な事にはならないのでは? とつじつまが合わない気がしました。

また、その他の面でも、皐月の能力と、現実や台詞、過去談のつじつまが合っていない場面が少々あったように感じられます。

吸血鬼の設定や情景描写がしっかりしていた分、小さなつじつまが気にかかり少し萎える印象を受けました。

ですが、作品全体を言うと、妖艶でゴシックが混ざり合った現代ラブファンタジー。

リアルな描写に飲み込まれ、ページを捲る手が止まらなくなるような素敵な作品でした。