仲間を見捨てること、それが一番嫌いな千夜は、族の世界で、NO.1とされる龍月の元総長の、紅月。
転校してきた先には、関東のNO.1の光龍に出会う。

ーどこの族もくずだなぁ?


フードを被った性別も年齢も不詳の人間が、形の整った唇が口角を上げる。


「っ、紅月!!…や、やめろ、っ、く、来るなぁ!!!!!!」


コツコツと、フードを被った人間ー紅月が、腰の抜けた男どもに近寄る。


壁まで逃げ、しかしもう逃げ道のない男達の前にしゃがみこむ。


まるで、小さい子どもの目線に合わせてあげる優しい大人のよう。


でも、紅月の目はそんな優しい大人の目ではなく、狂気に満ちていた。


「お前らの族、クスリもやって、強姦して、クズな野郎の集まりだなぁ?それに、仲間を見捨てて逃げるなんて、もっとクズだよ」


そう言って、紅月は、残酷に笑う。


ー裏路地に男どもの絶叫が響き渡った。