あの頃、先生はわたしの全てだった。
先生は7つ年上で
なにもかもを知っているようだった。
先生はわたしの通う「塾」の「先生」だった。
まだ何も知らないわたしに
世界を教えてくれて
自分を知る方法を
わたしにくれた。
CDやカセットテープの他
たくさんの「レコード」を持っていた。
たくさんの本を山のように持っていて
全てを読破していた。
わたしの知らない世界に
住んでいた。
遠い遠いひとだった。
それでもわたしは
先生に触れたくて
先生と話したくて
精一杯がんばった。
先生はもう、別のひとと結婚している。