森本万葉

本格的ファンタジー
崩壊に向かう世界の救世主。その一人に選ばれたのは、魔力が強いと言うだけで他に何ら取り柄のない普通の女の子だった。という出だしで始まるストーリー。

はじめのうちは兎に角謎だらけで、人物も次々と登場するので混乱しました。
しかし、少し読んで行くと、はじめのうちに世界観の説明とキャラクターを印象付ける記述が無理なく組み込まれているので、早いうちに全体的な雰囲気を掴めて良かったと思います。前半はストーリーもゆっくりめなのでとくに頭に入りやすかったです。

それに対して後半はテンポ良く展開していくので読みやすかったです。

戦闘シーンの細かな描写が特に素晴らしいです。格闘もスピード感がありますが、魔法の色味や規模、肌に伝わる雰囲気や気配などは圧巻です。

また、主人公シエラの少し卑屈な性格が現代人っぽくて共感できました。

そして、舞台の設定において文化圏の住み分けがしっかり出来ていて、各国それぞれの特性に基づいたキャラクターの設定には脱帽です。


物語の鍵を握る人物が揃ったところで今作は終わっているので次巻が楽しみです。