「遠山東高等学校、ファイト!!」
緊張感、張り詰めるこのグラウンド。
耳に入ってくるのは、応援してくれているクラスメイトや先生の声と、吹奏楽部の奏でる音楽と、仲間の声。
皆がここまで必死に応援してくれるのは、俺なら打ってくれると信じてくれているからだ。
相手は全国屈指の強豪校。
これを打てば、決勝戦に行ける。
プレッシャーと暑い日差しが、俺を刺激し、集中を弱めようとする。
いや、ダメだ。
集中するんだ、俺。
あいつと約束したじゃないか。
「さて、今大会の注目を集める遠山東高校!全国指折りの強豪校のピッチャー、佐賀くんのボールを打つことが出来るのか!?」
佐賀がマウンドで俺を睨む。
緊張の一瞬、張り詰める空気、静かになってきた応援。
青空を流れる雲、いろんな人達の応援が全て、スローモーションに見えた気がした。