野球の強豪、遠山東高校に入学した渡辺葵は弓道をすることに熱を注いでた。
そんな葵はある日、クラスメイトで野球部期待の新人ピッチャー蒼井耕太郎に頼まれごとをされ…

「遠山東高等学校、ファイト!!」



緊張感、張り詰めるこのグラウンド。



耳に入ってくるのは、応援してくれているクラスメイトや先生の声と、吹奏楽部の奏でる音楽と、仲間の声。



皆がここまで必死に応援してくれるのは、俺なら打ってくれると信じてくれているからだ。



相手は全国屈指の強豪校。



これを打てば、決勝戦に行ける。



プレッシャーと暑い日差しが、俺を刺激し、集中を弱めようとする。



いや、ダメだ。



集中するんだ、俺。



あいつと約束したじゃないか。



「さて、今大会の注目を集める遠山東高校!全国指折りの強豪校のピッチャー、佐賀くんのボールを打つことが出来るのか!?」



佐賀がマウンドで俺を睨む。



緊張の一瞬、張り詰める空気、静かになってきた応援。



青空を流れる雲、いろんな人達の応援が全て、スローモーションに見えた気がした。