清乃
共感
「鉄仮面」というだけで、もう主人公がどんな人なのか想像がつく。
40ページ、という決して多くはないページ数規定の中、瑠愛さんは言葉を厳選して選び、描写が削れる箇所はごっそり削り、その分を風子の心理に使って下さった為、短編でも充分風子の気持ちが理解出来、そして共感出来る作品となった。
書く部分、押さえる部分、の配分がとてもいいのでリズムがあり、それが読みやすさを演出している。
主人公、風子のような女性はとかく日本人男性には嫌われがちである。
表面だけでなく、その実績を上げる為の惜しみない努力は風子の真面目さ、几帳面さ、を表しており、それはつまり最も信頼のおける人物という、仕事の場では意味を成さない「プロセス」の部分をちゃんと見ていた北条は、日本人離れした立ち振る舞いのイケメン。
北条が日本人離れした立ち振る舞いだったから余計に私は共感出来た。
“正直者がバカをみる”ラストでなくて、とても気持ちのいい読後感だった。