うのたろう

「さすが」のひとこと
ケータイコミック原作というテーマ作品。

設定・物語・登場人物すべてが、奇をてらったものではなく、現実味を重視したなかでのどまんなか。

テーマありきの小説を書くときの、この作者さまの精度には、毎回おどろかされます。

物語は、いわゆるデスクワークをするための会社が舞台。

課の違う男女の出会い。
そして恋愛。

通称「鉄仮面の女」風子とパーフェクト男子の北条。
これ以上ないくらい漫画むきのキャラクター。

作中で北条が風子にスクリュードライバーの説明をするシーンがありますが。
それにも増してマティーニの表現が新鮮でした。

ジンとベルモットの比率を変えることで、無限に広がるマティーニのヴァリエーション。
「金色のマティーニ」という表現をつかうことで、それがノーマルのバランスではないということを暗にしめしています。

イレギュラーなマティーニをのむ、その晩の北条は、会社で見る彼の姿とは違いイレギュラーな口説きモードになっていた。

その技術。
うまいです。
ぜひ一読を。