綺麗な石になりたい。

作者ひなた

可愛い人、かっこいい人、優しい人、面白い人、よく笑う人。

その人の人格には、必ず理由がある。




その裏側に気付けた時、人は初めて愛情を知る。

人間は川下りをする石ころのようだと誰かが言った。





始まりは大きな岩。傷ひとつない岩。





そして時間が経って欠けたそれは、


棘を持った鋭い石に変わる。





そして、周りを傷つけてしまう棘を


取り除くため何度もぶつかって丸くなる。






最後には、


誰も傷つけない、小さな優しい石ころになる。









まるで人間の成長のようだと。










でも、棘を持ったまま、身動きを取れなくなった石は


どうやってその棘を取り除くのだろう。







棘を持ったまま流れから溢れてしまった石は


もうそこから元の流れには戻れないのだろうか?











この話を聞いた時、


私はどうしようもなく胸が締め付けられた。










うまくは言えないけど。











大人になれば


たくさんのものを削って丸くて優しい人になる。







じゃあ大人になって出会った、


優しい人、面白い人、よく笑う人、よく泣く人、


それらはみんな丸くなった大人が行き着いた先なのだろうか。







様々な人格にはたしかに理由がある。


自らが棘だと判断し取り除いたものを


誰かは丸くなった状態で身につけているかもしれない。







その裏側に気付けた時、人は愛を知るのだ。