人間は川下りをする石ころのようだと誰かが言った。
始まりは大きな岩。傷ひとつない岩。
そして時間が経って欠けたそれは、
棘を持った鋭い石に変わる。
そして、周りを傷つけてしまう棘を
取り除くため何度もぶつかって丸くなる。
最後には、
誰も傷つけない、小さな優しい石ころになる。
まるで人間の成長のようだと。
でも、棘を持ったまま、身動きを取れなくなった石は
どうやってその棘を取り除くのだろう。
棘を持ったまま流れから溢れてしまった石は
もうそこから元の流れには戻れないのだろうか?
この話を聞いた時、
私はどうしようもなく胸が締め付けられた。
うまくは言えないけど。
大人になれば
たくさんのものを削って丸くて優しい人になる。
じゃあ大人になって出会った、
優しい人、面白い人、よく笑う人、よく泣く人、
それらはみんな丸くなった大人が行き着いた先なのだろうか。
様々な人格にはたしかに理由がある。
自らが棘だと判断し取り除いたものを
誰かは丸くなった状態で身につけているかもしれない。
その裏側に気付けた時、人は愛を知るのだ。