結城夏乃

近付いては離れて。
ソーダ水。を読んで間髪入れずにⅡを読みました。近付いては離れてを繰り返す二人の焦れったさに悶えるように読みました。逃げてばかりの廉の弱さは、重すぎる聖への愛があればこそなのですか、不器用すぎていつも聖を傷付けている気がします。だけどその不器用さが彼の魅力でもあるわけで、と思わず苦笑してしまいます。弱い廉の強い部分、強い聖の弱い部分、どちらかしか持ってない人なんてきっといないんだ、と思いました。周囲の人間が親身に考えてしまう気持ちも分かります。とりわけ皆川くんの最後のヒーローっぷりには感服…全部持っていったんじゃないか?と思うほどでした。またソーダ水。の歌詞もとても感動的です。どんなにすれ違ってばかりで危なっかしい関係の二人でも、廉には聖しかいない、聖には廉しかいない、そう思える心強さがあります。器用に愛するなんて、きっとできることではないでしょうが、この先も彼らの友達や櫻木家の人たち、そしてこのソーダ水。の歌詞があれば、何があっても二人はきっと大丈夫だろうと安堵させる心強さです。田舎独特の美しい景観や雰囲気を彷彿させるので懐かしさをもたらして、その郷愁感がとても魅力的でした。