うのたろう

視点の変わる小説
主人公はふたり。

女サイドは柚。
男サイドは春斗。

毎日のように春斗に「好き」をつたえる柚に対し。
春斗のほうは、柚への気持ちがまるでわかっていないようす。

読者はそんなふたりの心の声をきく傍観者としての立ち位置だろうか。

どちらからも恋愛相談をされている仲介人(仲人役ともいう)のような気分になれる作品である。

ラストシーンで春斗は、柚のことをどう思っているかという自分の気持ちに気づく。

もどかしい未熟なこども心をふいに見せられたような気がして、なつかしい。

短編なので視点が変わっても読者が追いつかないということもない。

のどかな風景を見るような感覚で、この作品を読んで見るのもいいかもしれない。