その金魚が映しているのは、藍の世界か。それとも、哀の世界か。そんなことも、廻り出した今日には関係ない。
低空飛行で降りていく、宝石の尾ひれを付けて。
金魚はどこに行くの。
この狭い水槽の中では、見つかってしまうから。
せめて、今はその青い瞳で。
灰が舞うこの今日この頃も、
血塗れの空だって。
あの金魚には、晴れて見えるだろう。
グラスを割った様な冷たい時雨と、
ベランダで見た綺麗な星と、
幾つかの未来線。
こうして創られてしまった私の言葉も、
あの青い瞳に映っているといいな。