彼は人の顔と名前を覚えられない病を抱えている。だから彼は誰のことも愛さない。ーーー愛せない。
彼の寂しさの片鱗に触れて、
奥底に眠る温もりに気づいたあの夏の日。
「愛してる」
そう囁く彼を最期に
私は死んでしまえばよかった。
先輩はきっと私の名前も顔も
覚えていないでしょう。
お題:hakusei様より「(恋する心臓)」