小泉秋歩

めでたし、めでたしっ!
のんびりスローライフ小説の続編。
本編では隼人とうりの2人の夏のひとときが描かれていたのに対し、続編では猫(えこ)やバァちゃん、ミヨコさん、雲罫など、個性的なキャラクターに囲まれた穏やかな秋のひとときが描かれています。
隼人もすっかりこの家に馴染んできましたね。
続編で特にイイのは、雲罫のキャラクター。超然としていて、どこか得体の知れない雰囲気もあって、策士で、観察眼も鋭く、頼れる兄貴という感じ。きっとあのまま、ずーーーーっとあの家に住み着いちゃうんだろうな、なんて予感がします。
構成面で言えば、今回はかなり多めの分量で雲罫の視点での物語が展開していた訳ですが、隼人の一人称の柔らかいコミカルな口調と違って、きりっとした無駄のない文体で、雲罫というキャラクターの持ち味をよく表していたと思います。
最終的には、鬼は降参してめでたし、めでたし、ですね。ハッピーエンドでホッとしました。でも隼人はちょっと優しすぎますね(苦笑)
ラストの台詞が「また明日」だったのが、じわんと胸にしみました。この物語は決して終わりじゃないんだな――と思って。