『ああ』
銀のナイフを握り締め、暗く冷たい海の中から空を見る
『このまま消えるのね』
明るい空を見上げて、そう思う
もう二度と会うことはないでしょう
自分が愛した人を思い浮かべ、目を閉じる
『もう、誰にも会えないのね』
銀のナイフが泡になってなくなるのが、彼女にはわかった
そんな彼女の、続きの話
語られることのなかった、お話