冴えないメガネ男子の片瀬凌汰(かたせ りょうた)。入学願書違いで彼が入学したのは去年まで女子しかいなかった高校だった…。ほろ苦い青春と恋愛の幕が上がる…。

〜プロローグ〜

2015年春〜


オレの名前は、片瀬凌汰(かたせ りょうた)。




オレは晴れて中学を卒業した。そしていよいよ高校入試!!



でも、体が弱い僕は入試の前日に限って高熱を出してしまい、当日はフラフラしながら入試は保健室で受けることに。。

普段から勉強には自信があったが、この熱では受かるものも受からないと半ば諦めていた。。



3日後…





ドキドキしながら、合格発表を夕陽ヶ丘高校に見に行くと……








あれ?







あれ?






まさか……



「落ちた……??」





自分の番号がないことを確認して落ちたことを確認した…。


滑り止めで受けた私立があるが、どうしても自分に合った公立に行きたかった。。


頭が真っ白になっていた丁度その時!!!!!

いきなり携帯が鳴った。


出てみると幼なじみの七瀬からだった。

電話の向こうは歓声や泣き叫ぶ声でうまく七瀬の声が聞こえない。


「もしもし?七瀬??

何ゆってるんか聞こえへんねんけど?」


「か らさぁ〜、な なと 春から ぉなじ高校行け ことーに なっぇ〜」


……全く何をゆってるんか理解できない。


ただ1つ聞き取れたのは、春から幼なじみな七瀬と蒼士と同じ高校ということだけ。

同じ高校なんて受けた覚えがないオレは、また頭が真っ白になってしまった。。

だが詳しい話を聞きたかったので、家に戻ることにした。








家が近くなり、ふと道路と反対側を見るとオレの家の玄関前に見慣れた2人が。


幼なじみの七瀬と蒼士だ。。



美男美女の2人が、なぜこんなチビメガネのオレと仲がいいのか未だによくわからないが…


そんな事を考えてるうちに家に着いた。





玄関先で話せるような事でもないので、2人を自分の部屋にあげることにした。





俺の部屋は、見た目とは違い趣味のギターやベース、キーボードにドラムと楽器たちで溢れている。





七瀬「なんか、久しぶりに凌の部屋に入った気がする。意外にキレイにしてるんやなぁ?笑」


と、少し懐かしそうにソファーに腰掛けた。


蒼士「そやな? 俺も久しぶりやわ。あっ、この漫画読みたかったんや‼︎後で借りよっと」



オレが台所からオレンジジュースを持って部屋に入ると2人でジロジロ人の部屋の隅々まで見ては楽しそうに話している。




「あんま、ジロジロみんなよ‼︎」


オレの声に気づいて、2人とも真面目な顔になった。






しばらくの沈黙の後、口を開いたのは蒼士。


「凌はさ、また3人で同じ学校行くのそんなに嫌か?」


いきなりの言葉に耳を疑った。


「そんな事を言ってないやん?ってか実際は、あの高校じゃなくて違う高校の試験受けてたみたいやけど……なんでそんな事になってるんかわからんねん。」


オレが戸惑っていると、今度は七瀬が口を開いた。


「あのなぁ? 願書貰うときに担任が間違えて 3人

一緒の朝陽ヶ丘高校受けると思ってたみたいで、なな達と一緒の高校の願書を凌に渡したみたいやねん。

ななも蒼ちゃんも、それを知ったのが願書が受理された後で…。


担任も、凌にきちんと謝るって言っててんけど

なな達が黙っといてってお願いしてん。


凌に分かったら絶対受けへんって言うと思って。


一緒の学校に行きたいって…なな達のワガママやったと思う。ホンマごめんなぁ…。」


七瀬がオレの目を見て涙を堪えながら真実を教えてくれた。



今にも泣きそうになっている彼女をみて、それ以上何も言えなかった…。ただもう1つ疑問に思ってることがあった。彼女には、もう聞く勇気がないのでもう1人の幼なじみ、蒼士に聞く事にした。





「あのさ…

確かに、オレはあの日受けるはずやった夕陽ヶ丘 高校で試験を受けたはずなんやけど…?」



熱があって意識は朦朧としていたけど間違いなく、夕陽ヶ丘で試験を受けていた。それだけは確信している。




すると蒼士が


「あれなぁ〜?

夕陽ヶ丘と朝陽ヶ丘は、今年から系列が一緒

なんよ。だから極秘で朝陽ヶ丘の試験を

夕陽ヶ丘で受けさすことが出来たんだよな」




なっ…

[それって…どっち道、朝陽ヶ丘に行ってても

夕陽ヶ丘に連れてこれるって事ちゃうんか?]


心の中でそう思った。


「それってさ?学園長に言ったら、どうにかなるかな?」


すると2人が…





そこまでして嫌か…?という鋭い目でオレを見た。





それ以上何も言えなくなってしまい、オレは4月から朝陽ヶ丘高校に通う事になる…。



まさか、想像を超える高校生活になるとは

この時はまだ知るはずもなかった。






〜 一章に続く 〜