“彼氏は肩書き”
いつからそう思うようになっただろう。
恋愛なんてお遊びでしかなかった私。
本気愛なんて言ったって実際のところどうかわからなかった。
“愛してる”、“好き”、“この人とは長く続く気がする!”なんて口にしても、後々やっぱ口だけで言ってたな…なんて思い返す。
そんなことを何十回と繰り返してきた私に、よく分からない感情が芽生えた。
“好き”という恋愛感情一心ではなく、ただひたすらに“どんな形でもいいから、一緒にいたい”という思いだった。
…片想いなのかな、これは。
そう想いを寄せた相手には大事な彼女さんがいる。
告う前から失恋決まりなんてわかってる。
迷惑だってわかってる。
それでも、付き合いたいとか結婚したい!とかじゃなくて、純粋に愛しい、そばにいたいと思ったから、この気持ちは揺らいでくれない。
どんな形でもいい。
たとえ貴方が私を見てくれなくてもそばにいたい。
そう思っていたはずなのに。
「ごめん…気持ちには答えられない」
「うんっ、わかってる!だからこれからも友達として仲良くしてね?」
…友達としてなんて嘘。
…友達に戻るなんて無理だよ、ばか。
彼女と別れてくれたら、なんて最低なことを考える自分が嫌い。
なんでまた好きになったの。
もう、恋なんてしないって決めたのに。